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2018.11.30 「イングランド銀行を潰した男」ジョージ・ソロス その成功の裏の投資観

ジョージ・ソロス氏という投資家をご存知でしょうか?ソロス氏はウォーレン・バフェット氏、ジム・ロジャーズ氏と並ぶ偉大な投資家の1人です。今回は、そんな偉大な投資家の思考や投資観を学び、自らの投資に活かしていきましょう。

 

 

慈善と投機 ジョージ・ソロスの2つの顔

ソロス氏には投機家としての顔と慈善事業家としての顔と2つの顔がありました。投資家と投機家の違いについてまず簡単に説明すると、投資家は一般的に長期的に資産を増やすことを目的とし、投機家は短期間で資産を増やすことを目的にしています。

ソロス氏は、バフェット氏やロジャーズ氏など、ほかの偉大な投資家と比較すると投機的な側面が強いです。そのため、以下より「投機家」と表現します。

 

ソロス氏の投機家としての実績

ソロス氏は宝飾品販売会社を経て金融界に身を置き、ジム・ロジャーズ氏と組んでソロスファンド(クォンタム・ファンドの前身)を立ち上げます。結果的にロジャーズ氏と考え方の相違などにより仲違いし、ロジャーズ氏がファンドを離れる結果となりました。

その後、クォンタム・ファンドでは大きな損失を出し、運用資金を4億ドルから2億ドルに縮小せざるを得ない状況になります。しかし、クォンタム・ファンドは「史上最強のヘッジファンド」と言われており、1969年に資産1万円を投資していれば、1997年には資産3000万円以上になるほど結果を残していました。

このエピソードだけでも、ソロス氏が投機家としてどのくらい優秀だったかが分かります。

 

エリアによっては売却しやすい

ワンルームマンションを売るときは、主に不動産投資家がターゲットになるので、「入居用」に購入する層を取り込みにくいです。そのため、広めのマンションよりはターゲットが少なく売りにくいのですが、それも収益性の高いエリアを選ぶことでカバーできます。

そして、前項の通りワンルームマンションは賃貸需要が高いので、収益性が高い物件になりやすいのです。

 

ソロス氏の投機家としての実績②

前項以外にもソロス氏の有名なエピソードは、「イングランド銀行を潰した男」という話です。1990年に欧州通貨制度(ユーロに移行するまでの制度)に参加したイギリスですが、経済学者や財界人はユーロからの離脱、もしくはポンドの切り下げを望んでいました。

そのため、ソロス氏はイギリス政府(銀行)がポンドの価値を維持できないと予測し、空売りを仕掛けたのです。その額はなんと100億ドル規模と言われており、その空売りによってポンドの暴落が起きないようにイングランド銀行が買い支えますが、最終的には支えきれずにポンドは暴落(ポンド危機)しました。結果的にイングランド銀行をいち投機家が潰したというわけです。

 

慈善事業家としての顔

ソロス氏は、1979年に寄付を開始して、東欧の共産主義(≒社会主義)と戦うために故郷であるハンガリーに財団を設立します。共産主義は独裁的な政府が一国を支配する恐れがあり、自身が幼少期にそれを体験したことで辛さが分かるという想いが財団を設立させたのでしょう。

ソロス氏は、自身がそのような体験をしていることから「開かれた社会」を実現するために動いており、ハンガリー財団のように慈善事業家としての顔も持っているのです。

 

「市場は常に間違っている」ジョージ・ソロスの哲学的投資思考

ソロスがここまで投機に成功した背景には、自身がもつ「再帰性理論」という哲学的思考があったからです。ソロス氏は市場に対して以下の考えを持っていました。
1.市場はいつもある方向にバイアスしている(偏っている)
2.市場の現在の状況は、市場の将来の展開に影響を与える

簡単にいうと、市場は常に偏っていて、その偏りこそが収益を生み出す鍵ということです。たとえば、上述した「イングランド銀行を潰した」ときは、ユーロの誕生、自国の経済学者や財界人の発言から、「ポンドが割高過ぎる」と判断したのでしょう。

つまり、これが市場の偏りであり、そこに空売りをすることによって市場の将来に影響を与えます。もちろん、その影響とは偏り(ポンドが割高)を是正することです。

 

ソロス氏の背景にあるもの

上述したようにソロス氏は投機的な側面も強いですが、そのイメージは「100億ドルから売り仕掛けをする」など、派手なスタンスがクローズアップされているに過ぎないのかもしれません。

ソロス氏の成功の背景には、「開かれた社会」を実現させたい、また「再帰性理論」を信じるが故の投資スタンスが垣間見られました。投機家とはいえ、ここまでの結果を出しているソロス氏の背景には常に綿密な戦略があります。

不動産投資においても、自分が投資家として腰を据えた長期的な戦略を取るのか、それとも短期で収益を上げるスタンスでいくのか明確化して投資戦略を考える必要があります。つまり、ソロス氏のように一見派手なことをやっていても、裏では綿密に計算しつくされた戦略が必要ということです。